宮仕えの不条理ってこういうことを言うのだろう

サラリーマンではないが

所詮上には逆らえません

でも

こんなのってアリですか?

 

信じられない水曜日

 

あの男が赴任して来てから早三日目

は日々登校拒否児のような気持ちになりつつあった

家を出る時点で憂鬱になり、大学に到着したところで絶望感にみまわれる・・・

無神論者のはずが思わず神に祈ってしまうほどだ・・・

それでも仕事は待ってくれないし、生活していくには仕事をしなければならないのだ

「はぁ〜」

盛大な溜息に隣で仕事をしていた同僚が苦笑した。

「笑い事じゃないのよ・・・」

「ごめんごめん。でも一気に有名になったわね〜」

「まったくこれっぽっちも私の望んだことじゃないのに・・・」

「まあ、運命だと思って諦めたら?」

「運命・・・なんて大っ嫌いよ〜!!」

「何叫んでいるんだお前は・・・」

「あれ?お帰りなさい。会議だったんですよね?」

呆れ顔の上司に何事もなかったかのように反応する

「ああ、くだらない会議なんだが・・・」

そこでいったん言葉を切るとものすごくすまなそうな顔で

・・・俺を恨むなよ」

「はっ?」

訳がわからずクエッションマークを浮かべたに上司は地獄への片道切符をくれた。しかも超特急だ・・・

「明日からの小松先生の授業にお前

TAとして行くことになった」

TA(Teacher Assistant)ようするに教授・助教授の手伝いだ。普通はその学科の大学院生がアルバイトでやっている、専門知識が多少あったほうがいいからだ。どこをどう間違っても図書館員にまわってくる仕事ではない・・・

「すいません、何か間違ってませんか?」

思わず挙手しながら疑問を口にする

「俺もそう思う・・・思うんだが・・・すでに決定事項なんだよ。詳しいことは副理事長が直接話すそうだ」

「なんでここで副理事長なんてお偉いさんがでてくるんですか!」

はっきりいって副理事長なんて一度も会ったことはない、それどころか顔すらみたことがないのだ。

「とにかく行け!」

その一言ではいまだかつて入ったことのない副理事長室に足を踏み入れることになった

 

 

「なんで俺まで来なきゃいかんのだ・・・」

「私一人で行くなんて絶対!!嫌ですからね!!一応上司なんですから」

「一応は余計だ」

「それなら黙って一緒にきてください」

「そもそも呼ばれたのはお前だけだろーが」

「私・・・何しでかすかわかりませんよ?すっごい失礼なことしてもいいんですか?給料に響くかもしれませんよ?」

「脅すつもりか?」

「可能性を示唆しただけです」

「それを脅迫と言うんだ」

「お嬢さん小学校に入ったばっかりでしたよね〜可愛かったですね〜。女の子だしこれからまだまだお金かかりますね〜」

「・・・俺の負けだ」

「お二人とも丸聞こえですよ・・・」

秘書と思しき綺麗なお姉さんが困ったような顔でドアを開けた

副理事長室の目の前でこんな漫才コントをやっていれば嫌でもきこえるわな・・・

「どうぞお入りください。副理事長がお待ちです」

シンプルな部屋だった・・・簡素いやどっちかってーと質素な部屋になるんだろう。ここ本当に副理事長室なのか?一瞬は首をかしげた。一緒に来た上司はもう何度もこの部屋に足を踏み入れたことがあるらしく平然としている。

「何もなくて驚いただろう?」

唯一立派といえる重厚な机の前に30代前半と思われる男性が笑いながら立っていた。

そう副理事長その人である。

若っ!ホンとに副理事長なのか?もっと歳くったおじさんだと思ってた・・・

などと相当失礼なことを考えているにその人はにこやかなまま

「ごちゃごちゃ物を置くのが嫌いなんでね。さあどうぞ座ってください」

とすすめた。

「ことの次第は理解しているのかな?」

まわりくどい挨拶などは一切省いた直球にはあっけにとられたが、とりあえず頷くことだけはできた。

「じゃあよろしく頼むね。図書館勤務は今までどおりだから、ただ週に何度か小松先生の授業を手伝ってもらえればいいだけだよ」

「それがすでに間違ってると思うんですが・・・」

失礼になるのかもと考えながらはちょっとした抵抗を試みる

「そーだねー建築の先生が図書館員をTAにするなんて前代未聞だろうね」

「だったら・・・」

さんだっけ?この大学にどれだけの教職員がいるか知ってる?」

いきなり話題が変わったことに?マークだらけでは首を横に振る

「約300名だよ。その全員の生活がこの大学にかかっている。もちろん君の生活もね」

なんとなく先が読めては溜息をついた

「ついこの間まで財政難で大変だったよ、少子化で学生数は減るのに教職員の数は変わらないんだからね。結構リストラしたんだよこれでもね」

そういえば職員の半数近くが契約社員になっていたっけ・・・

「小松先生のおかげでだいぶ金銭面で余裕が出来てきたんだ」

にっこりと笑顔のままでその人は言う

「もし小松先生が辞めたら大変なことになるだろうね。職員の首がいくつ飛ぶかな」

「・・・わかりました」

がっくりと肩を落としてが答える

さんが頭のいい人で助かったよ。図書館にも今以上に予算を回せるから悪いことじゃないだろう?」

自分の身と引き換えに図書館予算を上げられても嬉しくもなんともない・・・

がそう言おうとしたとき、最初に会った綺麗なお姉さんに案内されるように一人の男がやってきた。

そう話題の小松尚隆である

思わず逃げ出そうとしたの腕をしっかりと捕らえる

「例の件は承諾してもらったから、連れて行って結構だよ」

「すまんな。貰っていく」

そのやり取りに、私の意思は無視ですか!!と口にしようとしたの視界に上司が手を合わせているのが入り飲み込んだ

人身御供ってこういうことを言うんだろう・・・きっと・・・恨みますからね〜

がジト目で上司を睨むのもしかたないことだろう・・・たぶん

「なにボーっとしてるんだ、行くぞ」

「どこにですか?私図書館に戻りたいんですけど」

「お前は俺のTAになったんだ、授業の打ち合わせは図書館業務より優先される」

「はあ?」

聞いてない!と副理事長を振り返ればどこか人をくったような笑みを浮かべていた

間違いない!この二人同種の人間だわ・・・先ほどの会話から薄々そんな感じはしていたけど、敵に回したら一番やっかいなタイプ!!

「行くぞ、

です!」

捕まれた腕をふりほどくようにして、訂正する

「・・・か」

「そうです」

向けられる意味ありげな視線に負けそうになりながらもははっきりと言った

「じゃあさん、授業の打ち合わせをしたいので研究室に来てもらえるかな」

「分かりました。ではこれで失礼させていただきます」

副理事長に丁寧に頭を下げると先に部屋から出ていた尚隆の後を追う

意味ありげな副理事長の笑みは見なかったことにしておこう・・・

 

 

その日が図書館に戻ることができたのは業務終了時間10分前だった。授業で使用する教材やプリントの整理などに意外と時間をとられてしまったのだ。同じ建築学科の大学院生が手伝いに来てくれていたおかげで尚隆と二人っきりという状況はなんとか免れていた。二人だけだったならばおそらく5分としてあの場にいることはできなかっただろう・・・次も絶対誰かに手伝いに来てもらおう!!がそう心に強く決めているとき

「俺だ。俺に手伝いの大学院生いらないからな、そう言っといてくれ。邪魔なんだよ」

どこかの助教授が電話で副理事長に圧力というお願いをしていたことを彼女はまったく知らない・・・・・

 

 

 

言い訳

このまま行くと二人の接点があまりにも希薄なのでは?ということで急遽こんな形にしてみました・・・しかしラブコメになっているのか?これ?副理事長最初はまったく出てくる予定はなかったのに、でばってるし、この人が一番くえないおっさんでしょう!!今のところね。朱衡と良い勝負するかもしれんな〜



 

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