自分の意図していない事態が発生して

なおかつそれが自分にとって不利益でしかなくて

それなのに

怒りの持って行き場がないって最悪じゃない?




常識外れの木曜日




昨日から数え上げたらきりがないくらいについている溜息をは本日もついていた

「はうあ〜」

溜息ついたところで事態が良くなるわけでもなく、むしろ悪化しているかもしれない・・・

「ちょっと!!人の話を聞いているの!!!」

「一応、それなりに」

無反応なのもどうかと一応返事はしてみるがそれが火に油をそそいでいる感じである

はしみじみというか改めてと言うべきかじっくりと自分の目の前に立つ女性を見た

この大学にはいかにも不似合いというか歩きにくいだろうと突っ込みをいれてしまいたくなる高いハイヒール、いったいどれだけの時間をかけているのだろうかと考えるほど完璧なヘアメイク、色気を全面に押し出しまくった体のラインを強調するような服。似合わないというわけではなく似合っているのだろうが、いかんせん大学のキャンパス内では完全に浮いている。

そしてトドメは頭の中でハウリング(電源の入ったマイク同士を近づけると鳴るあのキーンとした音)をおこしそうな超高音の声、これで目立つなというほうがムリであろう

この女性はを捕まえると、の意思を素晴らしいまでに無視して建築学部助教授でもある噂の小松尚隆に自分がいかに相応しいかを力説し始めたのである。

ちなみに似たようなことは本日五度目である・・・

さすがのもこれだけ続けばうんざりというか辟易してくる

「あのですね、納得するしないはご勝手ですが、一言言わせて貰えればですね」

明きらかに間違った丁寧語で少々不機嫌さを滲ませながら

「あなたが小松先生を追いかけよーが捕まえよーがその場に押し倒そうが私にはまったく関係ないんです」

いや、押し倒すのは少々問題があるんじゃないでしょうーか・・・まあ素直に押し倒されるような男じゃございませんが

「むしろ諸手をあげて大歓迎します」

「じゃっじゃあ!なんであの人はあなたを追いかけているのよ!!」

むしろこっちが聞きたいわよ!!はそう言い返したかったがこの手の輩は相手にするとしつこく続くのですっぱり無視することにした

「申し訳御座いませんが、業務中ですのでこれ以上、お話する時間はありません。それに、これ以上うるさく何か言うようなら」

にっこりと天使の微笑みと名がつきそうな笑みを浮かべて

「警察に通報させていただきますが、よろしいでしょうか」

「なっ!!!何言って」

「やってみましょうか?一生に一度くらい警察に電話してみるのもいいかもしれませんね」

そういって携帯を取り出した

「おっ!覚えてなさいよ!!」

「申し訳ありませんが無理です」

靴音も高らかに捨て台詞を残していった女性に、トドメのような一言を返してはふか〜く溜息をついた

よかった〜頭の働きが鈍いお方で、だいたい大学構内での個人的なやりとりに警察が介入するわけないじゃないのよ

「いや〜見事なものだね」

出やがったな、腹黒副理事長!!策略大魔王め!!

背後から拍手付きで降ってきた言葉に作った笑顔で振り返りながら心の内で悪態を並べる

「どうなることかと思ったけど、心配するまでもなかったね」

「次からは副理事長にお任せします」

「私も遠慮させてもらうよ」

あくまで笑顔で返す副理事長に

「でしたら小松先生にクギ刺しといていただけますか?」

「君が言ったほうが早いんじゃないかい?」

「私、小松先生とはこれ以上ほんの僅かでも関わりたくないんです」

その強い決意を感じさせる言葉に副理事長はわずかに眉をしかめたが

「可能な限りご要望にお答えしよう」

「そうしてください。ところで何か用でもありましたか?」

言外に忙しいはずの副理事長がこんなところでなにしてるんだ?というのがありありと含まれていた

「なに、たまには構内を散策するのも悪くはないと思ってね」

副理事長室で書類にでも埋もれてればいいのにっっ!!

「そうですか、それはではごゆっくりどうぞ。私は仕事がありますのでこれで失礼させていただきます」

くるりと踵を返して急いで図書館に入ろうとするの背中にありがたくもない一言が降ってきた

「許可はもらったから、構内を案内してくれないかな?」

ががっくりと肩を落とし、図書館入口で回れ右をしたのは言うまでもない

無駄に逆らうだけの気力も体力もすでに残っていなかったからである・・・・

「次に同じような手を使ったら・・・・」

「使ったら?」

「この大学がどうなろうと私は構いません」

つまり教職員全員をクビにしてでも辞表を提出する・・・あの小松助教授と完全に決別するということだ

「わかった。心得ておこう」

ニコニコと笑ったままでそんなこと言われてもまったくもって信憑性はない

「で、どこにお付き合いすればよろしいんですか?副理事長」

「おや?構内を案内してくれと頼まなかったかな?」

「あなたに今更、構内の案内なんて無意味でしょう」

違いますか?と問われて、彼はほう?と肩をすくめた

「なぜそう思う?」

「なにしろ執務中にフラッと消え、構内のいたるところに出没する副理事長の噂はよく耳にしますから」

「ふむ・・・もう少し大人しくしているべきだったな」

「次からそうしたらいかがですか。それよりご用件は?」

「なに、お茶をご一緒してもらおうと思ってね」

てっきり尚隆のところに連れて行かれるものだと思っていたは予想外の答えにはっ?という顔をした

「つい昨日から学食でデザートセット始めたんだ、それにしよう」

「いや・・・あの・・・・」

呆然としたままのを引っ張ってご機嫌な副理事長は学食へと足を向けた






確かにこのケーキはおいしい、お茶だって学食のにしたらいいものだ

ただし!目の前で自分と同じようにケーキを口にし、優雅にお茶を啜っている人間がいなければもっとおいしく堪能できたはずなのだ

「うん、なかなかのものだね。採算が取れるか心配だがどうにかなるかな」

一人で納得したように頷く副理事長を前にはひたすら沈黙した

「おいしくなかったかい?」

「いいえ、大変結構だと思いますよ」

「よかった。こういうものには女性の意見が大事だからね」

「まさか、このケーキセットの試食をさせるためにここに連れてきたわけではないでしょう」

「うん、その通りだよ。ただ、折角だからリサーチもしておこうと思ってね」

一挙両得というやつさ、と相変わらず笑顔な彼には思いっきり不審な目を向けた

「さて、本題といこうか」

笑顔のままで口調すらも変えずに

「どうしたら尚隆、小松先生の元に戻る気になる?」

「なぜ副理事長がそんなことを気になさるんですか?」

疑問を疑問で返す。自分の本意を知られないためにも

「私と彼はこうみえても友人でね」

を中々手ごわい相手と認識した彼はきちんと順序立てて説明することにした

「最初は単なる上司と部下だったんだけどね。色々あって友人になったんだが、まあ彼の部下であることには変わりないんだけど。知っての通り私は去年からこの大学に携わることになった、それまでは彼の部下として友人として働いていたんだよ」

いきなり始まった昔話には目を細めたが大人しく聞くことにした

「親に泣き付かれなきゃ今だって彼の下でバリバリ働いていたんだろーけどねえ」

「今からでも遅くないんじゃないですか」

「いや〜さすがに親に泣きつかれてら後味悪いよ。それに学校経営も悪くはない、ビジネスとしては中々面白味のあるものだからね」

「そうですか」

「だからね、彼がどう人間か世間の作り出した虚像よりかは知っている」

の手がカップに伸びたところで止まった

「少なくとも私の知っている小松尚隆という人間が今まで、君ほど欲した人間はいないはずだ」

「・・・・・気のせいじゃありませんか」

「彼と君の間に何があったのか私は知らない。だが、彼がここまで君を追い求めてやって来たことは事実だ」

「私にどうしろと・・・・・」

「彼だけではなく君も動いてはどうかね?」

ガタン!と大きな音を立てては立ち上がった

「・・・・・ごちそうさまでした」

「どういたしまして」

顔を伏せたまま礼を述べると

「副理事長・・・・余計なお世話です」

そう言い置いて走り去るようにして学食を後にした

「やれやれ・・・・失敗したかな?」

ひょっとしたら余計なことをしないほうが良かったのかもしれんなあ

のほほんとそんなことを考えた彼はおそらく明日からなおさら彼女に避けられることとなるであろう自分の友を思い浮かべほんの少しすまない気になったが、所詮他人は他人である

彼としてはあの二人がどうにかなってくれるほうがありがたいので、自分の行動が吉と出るか凶と出るか見ものだ、などと些か不謹慎な気持ちであった



彼のこの行動はまぎれもなく凶!と出たことは言うまでもない







言い訳

う〜ん最初は軽いのに段々シリアスっぽくなってしまったのはなんで?

ラブコメ路線から思いっきり脱線している気がするんだよね〜

元の軌道に修正できるのだろうか?




 

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